エボラ出血熱の潜伏期間
エボラウィルスは、体細胞の構成要素であるたんぱく質を分解して毒性を発揮するという特徴をもっています。
ウイルスに感染すると約2-21日間の潜伏期間を経て突発的に発症します。
血液を介して感染した場合は、発症が早くなります。潜伏期間中は感染力を持ちません。
エボラ出血熱の初期症状
エボラ出血熱の初期症状としては、発熱、悪寒、食欲不振、頭痛、筋肉痛、腰痛、発疹、腎障害、肝障害などが挙げられます。
これらの症状は、インフルエンザと似ていますが、エボラ出血熱の発症後4〜7日程度が経過し病状が進行すると、嘔吐や血便をともなう下痢が始まります。
その後さらに病状が進んだ場合は、約70%の患者に、吐血、歯肉、鼻腔、皮膚、消化管からの出血などの出血傾向や、かゆみを伴わない斑や発疹が出現します。
エボラウィルスは、体内の免疫反応を回避し、好中球(免疫細胞が警告を発してウィルスを攻撃する役割を持つ白血球の一種)の働きを阻害するという特徴を持っています。
したがって、エボラウィルスは、免疫細胞に感染することで、肝臓、腎臓、脳をはじめとする全身の臓器に広がることができるのです。
エボラ出血熱の発病後7〜10日が経過すると、体中の毛細血管に血栓ができる播種性血管内凝固症候群(DIC)による多臓器不全、出血によるショック症状、強い中毒症状などを引き起こし、エボラ出血熱患者の約半数が死亡します。
エボラ出血熱の出血
エボラ出血熱の末期症状としては、意識混濁、外出血、内出血などがあげられます。
中でも、患者の全身の開口部という開口部から、おびただしい量の血液と溶解した組織が噴出する「炸裂」や「放血」といった現象は、エボラ出血熱に特異な症状として広く知られています。
ただし、眼球などの全身からの出血が起こる事例は、患者全体の2割程度とされています。
患者がこの時期を持ちこたえることができれば、3週間程度の期間をかけて、エボラ出血熱の病状は回復に向かっていきます。
このように、エボラ出血熱患者が回復するかどうかには、患者自身の免疫力や健康状態、感染する際に接触した患者のウイルス数などが関係しています。